裁判官が法廷で北朝鮮による拉致被害者の救出を願う「ブルーリボンバッジ」の着用を禁じたのは不当だとして、大阪府の男性ら3人が国に計390万円の支払いを求めた訴訟で、2025年4月10日付け最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は上告を退ける決定をした。
「違法な公権力の行使ということはできない」などとした大阪高裁判決(森崎英二裁判長)が確定した。
※大阪地裁(達野ゆき裁判長)も男性らの請求を棄却している。
問題となった訴訟
大阪地裁堺支部で行われた、「フジ住宅」のパートであった在日韓国人が民族差別表現(韓国や北朝鮮の侮辱)を含む文書を職場で配られたとして、「フジ住宅」と同社会長に損害賠償を求めた民事訴訟。
同社の支援者は、普段から着用しているブルーリボンバッジを大阪地裁堺支部は認めませんでした。
※こちらの訴訟は、一審では配布が「社会的に許容できる限度を超えている」として会長らが100万円の賠償命令。二審では、132万円の賠償と文書配布の停止を命じ最高裁で確定しました。
トラブル
この訴訟では、原告女性の支援者が「ストップ!ヘイトハラスメント」と記された缶バッジを身につけており、それに対しフジ住宅側の支援者が大阪地裁堺支部に注意を促しましたが何の措置も取られず、2018年3月の口頭弁論でフジ住宅側の支援者が富士山と太陽を描いたバッジをつけ入廷すると、堺支部は「メッセージ性のあるバッジの着用は認められない」と、双方のバッジを禁じました。
続く2018年5月の口頭弁論で原告側の支援者がブルーリボンバッジを着用したフジ住宅側の支援者に対し「メッセージ性があるから外せ」と言ってきたため、間に入った堺支部職員が担当裁判長(中垣内裁判長)に確認のうえ、ブルーリボンバッジを外すよう命じました。判決は後任の森木田邦裕裁判長が代読しましたが森木田邦裕裁判長もブルーリボンバッジは認めませんでした。
両者が控訴した大阪高裁の控訴審では、ブルーリボンバッジに加え日の丸バッジも禁止されました。
ブルーリボン着用の妥当性
「ストップ!ヘイトハラスメント」の缶バッジや富士山と太陽の缶バッジは、いずれも相手に攻撃のメッセージ性があるとして禁止されており妥当性はある。
しかし、ブルーリボンバッジは相手への非難のメッセージはなくフジ住宅側の支援者が日常的に着用しているものであるため着用には問題ないように思えます。
判決
メッセージ性を持つバッジを着用すれば、「法廷の秩序を維持できなくなる可能性があった」とし、バッジの着用を一律に禁じたのは適正な法廷警察権の行使だったとして上告を退けた。
これにより「違法な公権力の行使ということはできない」などとした大阪高裁判決が確定しました。
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