プロフィール
| 名前 | 中田 充(なかた みつる) |
|---|---|
| 年齢 | 45歳(2023年12月時点) |
| 犯罪 | 殺人(死刑) |
| 現在 | 収監中(死刑未執行) |
犯罪歴
小郡妻子3人殺害事件
2017年
6月5日午後7時頃、被告が子供達と共に自宅に帰宅
6月5日深夜〜6日午前6時半、妻・長男・長女を殺害
6日午前6時53分、被告が自宅を出て出勤
《犯行》
福岡県小郡市の自宅にて、2017年6月5日深夜から翌日未明(遅くとも午前6時半までの間)に妻・長男・長女を殺害しました。殺害後3人の遺体をライター用オイルを使い燃やしています。
《被害者》
・妻(38歳):不詳な方法で首を圧迫され、窒息により死亡
※自宅1階の台所で発見
※遺体に引きずられたような痕跡なし、発見現場付近で殺害されたと認められる
・長男(9歳):ひも状のもので首を絞められ、窒息により死亡
※自宅2階の寝室の布団の上で発見
※ズボン・パンツ・布団に尿斑があり、発見現場付近で殺害されたと認められる
・長女(6歳):ひも状のもので首を絞められ、窒息により死亡
※自宅2階の寝室の布団の上で発見
※ズボン・パンツ・布団に尿斑があり、発見現場付近で殺害されたと認められる
《死亡推定時間》
・子供達には、両側性の死斑が認められた。これは死後5時間から10時間程度の時間帯に遺体の体勢を変えた場合に見られる。
→消防士らが子供達の遺体の体勢をうつ伏せから仰向けにしたのが6月6日午前9時半頃なため、子供達が殺害されたのは、6月5日午後11時半頃〜翌午前4時半頃だと考えられる。
・妻の死斑の状況・被害者3名の直腸温の変化から、6月5日深夜から翌6日未明、遅くとも同日午前6時半頃までの時間帯であると認められる。
《証拠》
・第三者が殺害したと主張しているが被害者が殺害された時間帯に被告が在宅していた。
・3人の遺体があるのにもかかわらず、事件日当日午前6時53分に普段通り出勤。
→第三者が自宅に侵入し、殺害したと弁明しているが本当にそうならこの行動はおかしい。
※自宅の1階台所と2階寝室に遺体があり、被告が異変に気づかずに出勤したというのは考えられない。
※被告人のスマホには、出勤前に何度も1階・2階を行き来した状況が記録されている。
・被告人の左腕に妻が爪を立てて抵抗したとみられる痕跡あり。この傷は、6月4日夜〜6月7日の夜までの間についたとされる。
・妻の爪と首から妻と被告の混合DNAと考え矛盾しないDNA型が検出。
→妻の首には、手で圧迫したと考えられる跡もあり、被告が妻の首を素手で絞めたと推測できる
・被害者達の遺体をつなぐような形でライター用オイルがまかれており、被告人が被害者らの遺体をつなぐようにライター用オイルをまいて火をつけたという事実が認められる。
・被告人はもともと妻から叱責されても反抗的な態度を取ることはなかったが、本件直前頃、妻が母や姉に対し「最近被告人のことが怖い、今までになく刃向かってくるようになった」などと話していた。
・被告は「出勤時に3名とも2階寝室の布団で寝ていた」旨の供述していたが事実に反している。
・外部犯の可能性がない。
《外部犯の可能性》
・第三者が自宅に侵入した明らかな痕跡なし。
・被害者3名が殺害された時間帯に被告は自宅におり、外部犯がいたとして、被告に気づかれることがなく3名を殺害・被告にだけ危害を加えないということは考えられない。
・事件後の被告人宅の検証等の結果。台所の手提げバッグ内の財布に現金が入ったまま・台所に置かれた収納ケース内や紙袋内に入っていた現金入りの封筒が入っていた・妻の遺体に下着の乱れなどの性的被害の跡がないなど、窃盗犯やわいせつ犯の侵入を疑わせる事情が見当たらない。
・第三者の犯行を疑う具体的事情も見当たらない。
・自宅1・2階の各所から採取した指紋は、事件前にハウスクリーニングを行った業者・被告・妻・長男のものであると確認。
《子供達を殺害した犯人について》
外部犯の可能性がない以上、子供達を殺害したのは、被告人か妻のどちらかしか考えられない。
ただ、以下の理由で妻が子供達を殺害していないと考えられる。
・妻は、以前から子供達の育児に尽力しており、6月5日も普段と変わらずに子供達の面倒をみていた。翌日以降も子供達の予定を入れた上、間近に迫った長女の誕生日の準備もしていた。
・被告人が「妻が子供らを殺害した」などという話を一切していない。
・自宅1階台所にあった妻の遺体と2階寝室にあった子供達の遺体をつなぐような形でライター用オイルがまかれており、被告人が被害者らの遺体をつなぐようにライター用オイルをまいて火をつけたという事実が認められる。
→妻の殺害犯と子供達の殺害犯が同じ可能性が高い
《可能性のある動機》
被告は犯行を否定しており、動機については何も話していません。
考えられる事情として、以下が挙げられます。
・被告は、妻から日常的に、時には子供達の面前で厳しく叱責され暴力を振るわれていた。
※妻の叱責は、妻の母親・姉・妹から厳しすぎると指摘されるほど
・妻から逃げるように、仕事があると嘘をつき同僚の部屋やホテル等に泊まり、趣味のパチスロに興じていたが、嘘がばれてスマホのGPS機能で居場所を妻から監視されるなどされるようになる妻に対し鬱憤が溜まっていた。
・妻に同調し味方する親族に囲まれて生活する環境で鬱憤が溜まっていた。
・妻は、被告人に隠れて特定の男友達と会って食事をするなどしており、事件前月頃にその男友達に会った際、妻のスマホを被告人に見られて男友達の存在が被告人にばれたかもしれないというような話をしていた。
・被告人は、警部補への昇任試験に繰り返し不合格となっており、妻は不満を持っていたところに、被告人は6月5日の夕方頃に電話で昇任試験が不合格であると告げられており、このことがきっかけに口論に発展し、事件が起きた可能性がある。
裁判
【福岡地方裁判所】(第1刑事部)
※裁判員裁判
《判決》
2019年12月13日、死刑の判決。(求刑:死刑)
《量刑の理由》
・3名の生命を奪った結果は重大である。
・子供達が殺害される理由が何一つ見当たらず、酌量の余地がない。
・3名の殺害について、いずれも手やひも状のもので首を絞め窒息させるものだった。人を窒息死させるには、少なくとも数分間は首を絞め続けなければならず、その間に痙攣・顔面にチアノーゼが生じたりする。この間、人の命が失われていく様子を体感でき、かつ思い直してやめることもできたはずだが、首を絞め続け殺害するということを3回も繰り返し実行している。
※チアノーゼ:血液中の酸素が不足し、皮膚や粘膜が青紫色に変色すること
・被告の当公判廷における供述及び供述態度から、自身の犯した罪に真摯に向き合い反省しているとは認められない。
・本件は、現職の警察官が妻子3人を殺害したという衝撃的な事件であり、社会的影響も軽視できない。
[結論]
計画性が認められず、妻殺害に至る経緯について同情の余地がないとはいえないが、家族3名を殺害した結果は重大であり、子供達を殺害したことについて酌量の余地はなく、犯行が悪質であり、刑事責任が極めて重大。そのため、特に死刑を回避すべき事情が認められない限り、死刑の選択を免れない事案といえる。
《裁判官》
・柴田寿宏(裁判長)
・武富一晃
・髙橋侑子
【福岡高等裁判所】(第2刑事部)
《判決》
2021年9月15日、1審の死刑判決を支持し、控訴を棄却。
《判決理由》
・3名を殺害したという結果が誠に重大であり、とりわけ子供らを殺害したことについてはその動機に酌量の余地がない。
・3名もの首を数分間絞め続けて殺害するという犯行が全体として悪質であり、計画性が認められないことや、妻殺害に至る経緯について同情の余地がないとはいえないことを考慮しても、被告人の刑事責任は重大。
・犯行後にライター用オイルをまいて火をつけた行為について、証拠隠滅行為であると認められる。
・被害者らを殺害後、それらの遺体をつなぐように油類をまいた上で火をつけて家を出ていて、犯行後の情状も悪く、その後も自身が犯した罪と向き合って反省や悔悟の情を示すことが全くない。
・謝罪等の遺族に対する慰謝の措置も執っておらず、遺族らの処罰感情は厳しい。
・被告人が本件犯行時までの約15年間稼働しており、前科もないことから、犯罪性向が強いといえないことを考慮しても、その刑事責任が誠に重大であると評価は揺るがない。
《裁判官》
・辻川靖夫(裁判長)
・武林仁美
・倉知泰久
【最高裁判所】(第3小法廷)
《判決》
2023年12月8日、被告側の上告を棄却し、死刑が確定。
※5人の裁判官一致の結論。
《判決理由》
・3名の生命を奪ったという結果は重大
・首を数分間絞めて殺害するという確定的で強固な殺意に基づく上、被告は3回もこの行為を繰り返し、生命を軽視する態度が甚だしい。
・被告が犯行を否定しているため、動機も不明だが、長男・長女を殺害した動機として酌量できるような事情が見当たらない。
・妻の殺害について、夫婦関係のあつれきの中で抱いたであろう心情自体は理解できなくないにせよ、殺害を決意した経緯として大目にみたとしても限度がある。
・遺族らは、被告人に対し、厳しい処罰感情を示している。
・被告人は、自身の罪と向き合う姿勢を示さず、反省悔悟の情をうかがうことはできない。
《裁判官》
・長嶺安政(裁判長)
・宇賀克也
・林道晴
・渡邉惠理子
・今崎幸彦